元マグロ船コック長が作るマグロ漁師料理をこだわりの地酒、焼酎、ビールでご堪能下さい。

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高知の漁船は一攫千金の夢を追って世界の海を駆けめぐる。異国の港に立ち寄りながら、マグロの大群を追い求めた海での800日には、自然と人間の織り成す壮大なドラマがあった。大漁の喜び、沖での孤独、暴風雨との戦い、濃密になる人間関係、そして常に死と隣り合わせの航海の厳しさ。男たちの熱い物語を、3度の航海を経験したコック長が優しさあふれる視点で描く。第7回ノンフィクション大賞受賞作品。
小学館 定価1500円

 

ベストセラー「まぐろ土佐船」の著者が、自らマグロ居酒屋を営みながら、つぶさに見てきた日本人の伝統食文化であるマグロ資源枯渇の現状をルポし、その危機的状況を問題提起する。世界の漁獲量の三分の一を消費する日本は、マグロ飽食体質に冒され自らマグロ資源の枯渇を招いている。美味しいマグロをいつまでも食べるために、いま何がが必要か?マグロ漁船員歴六年。下船後のマグロ居酒屋二六年の著者が、日本全国のマグロ基地を訪ねながら現状を記録、≪マグロ食いのマグロ知らず≫の日本人への警告を発する一冊である。
小学館, 定価1400円

 

●足かけ4年の壮絶な航海の間中撮影し続けた貴重なフィルムに、ハイビジョン24Pによる再現映像
とCGを加え、想像を絶する世界をドラマチックに再現。
●決して見ることの出来ないマグロ漁の貴重な映像が満載。

【内 容】
海が荒れ、風が飛び、マグロが躍る。土佐の男たちの想像を絶するすさまじい記録。
荒れ狂う南緯40度線を越え、命をかけてマグロを追い続ける男たち。足かけ4年間という
世界最長の航海。縄船の料理長はカメラを回し続けた。これは正真正銘の異界録。
有人宇宙探査の旅に出るまで、人類はもはやこれほど孤立した環境に生きることはない…。
誰にも撮ることのできない驚異の映像が今ここによみがえる。ポニーキャニオン 3990円

 

まぐろ漁船に乗り組んだ男たちの、壮絶な「まぐろ漁」の様子を、都会出身・ライターくずれのコックという、一歩離れた視点から活写した一冊。著者の夭逝を悼みます。

非常にプロレタリアート色が満載で、しかし切実で、強靱な物語。荒れた海で、ひたすらに延縄で鮪を上げつづける船員さんたちの姿が印象的。強度のある一冊です。読んだ翌日に原作を買ってしまうくらいに面白い!
小学館 定価505円

 

食材魚介大百科、別冊①「マグロのすべて」が平凡社(2600円)より刊行されました。
帯には、いま、世界がマグロを食べている。
スシやサシミを通して、マグロの味は世界中にひろまった。
日本の食の伝統を守りつつ、これからもマグロを食べつづけるために、そして賢い消費者となるために、
もっとマグロについて知るための本。
生物学から食文化、漁業、国際問題まで網羅した、超マグロ大百科。
第2章、マグロの食文化の中に「マグロ船コック長の料理」として、炊屋のマグロ料理が紹介されています。
ぜひご覧ください。

 

遠洋マグロ漁船を降りて二十三年。マグロ漁師料理店を開き、魚市場でマグロを買い付け、料理してきた。  近ごろ、おいしいマグロが少なくなってきている。痩せて脂がない。せっかくいいマグロにも傷や染みがある。  セリ場に並ぶマグロは、ほとんどが輸入マグロである。
 日本の遠洋マグロ船は、上質のマグロを求めて地球の隅々まで漁場を開拓してきた。北洋のアイスランド沖、カナダ沖から地中海、インド洋、南氷洋まで。資源の減少を考慮して、自主的に減船もした。その日本の遠洋マグロ船が、安い輸入マグロに圧迫され、相次いで倒産している。
 国際資源管理機構は、マグロ資源を守るために漁獲規制を強めてきた。このほど神戸市で五つの機関が初めて合同会議を開いた。残念ながら、選択された行動方針はまだ十分なものといわざるを得ない。
 日本では規制のアミを潜りぬけて、激安マグロが出回り続けている。違法と知って買い付けているのは日本人である。消費者が安いといって喜んで食べるから、どんな素上のマグロでも買い付ける。
 資源へのダメージが大きいのは、大型巻き網船だ。ヘリコプターで魚群を探査し、未成魚のマグロを巻き網で一網打尽に巻いて獲る。そのマグロにエサを与えて肥らせる蓄養マグロが急増している。マグロを食べる習慣のない外国人にとって大事なのは、資源よりもビジネスの儲けである。
 合同会議で日本は巻き網船の規制を主張したが、受け入れられなかった。蓄養マグロは、行動方針に「監視の促進」がうたわれたが、具体策は見えない。
 一方で、安価な蓄養マグロのトロに日本人が殺到する。
 「デカネタ堪能!豪華三点盛り六百円」
 「千円でマグロ食べ放題!」
 と回転すし店。テレビは競うように視聴率が稼げるマグロの特番を組んでブームをあおる。マグロ資源は危機的にあるといわれているにもかかわらず、このスシブームでマグロの消費量が増え、より多くの供給が迫られる。
 需要が増え、供給を満たそうとすれば、漁期前の痩せたマグロまで手を出し、そのマグロは安く買いたたかれ、採算をとるために量で稼ごうと乱獲する。世界の海でこんな悪循環がおこっている。
 安いマグロを追い求めれば、いつかマグロ漁業は崩壊するだろう。漁獲規制を強化して違法船を取り締まり、ある程度マグロの価値が上がって適正価格が守られれば、消費が落ち込むかもしれないが、マグロを大事に食べるようになるはずだ。 
 マグロを刺身で食べるというのは、日本固有の食文化だ。その文化を持たない外国船は魚の扱いが雑になる。とくに、マグロは繊細な魚であり、刺身の微妙な味の違いがわかる日本人でなければ丁寧に扱えない。マグロ漁船にのり、現場を見てきた私の実感だ。
 今、日本の遠洋マグロ漁船は生き残りの正念場であり、生産者の努力だけでは限界にきている。マグロ資源とマグロ漁文化を次世代に継承していくには、獲る人、買う人、食べる人が一丸となって考えていくことが必要ではないだろうか。
 消費する前に、日本の漁師たちがいかに厳しい状況にあるか、そのマグロがどこから来たかを知ってほしい。

 

 日本を守るべき最新鋭のイージス艦「あたご」が、衝突回避の義務を放棄し、マグロ延縄漁船「清徳丸」を押しつぶした。全長165mの護衛艦(7,750トン)が、全長12mの小型漁船(7,3トン)にぶつけたその衝撃は想像を絶する。
 衝突現場は、千葉県野島崎沖の太平洋。東京湾の出入りなど大型タンカーや商船、漁船などが頻繁に行き来する海域で、通過する際に細心の注意が必要とされる。さらに、視界の悪い午前4時過ぎの夜明け前で、魔の時間である。あたごの艦橋には当直10人に加え、直前に交代した乗組員など30人がいた。
 建造費1400億円のあたごは対空戦闘では、同時に10個以上の目標を捕らえ選別し、迅速に攻撃する超高性能艦。乗組員は多くの海上自衛隊員から選別されたエリートたちで、ハワイで訓練を終え、横須賀港を目前に気が高まり注意も散漫になっていたのではないだろうか。
 遠洋マグロ漁船でも2年近くの長い操業を終え、日本に近づいてくると船内は興奮してくる。「まぐろ土佐船」で、ぼくは最後の章にこんな場面を書いた。
 《「コック長、畳の上で寝るまで、気い抜いたらいかんぜよ」「分っちゅう」私は土佐弁で相槌を打った。帰港中、漁船の事故が多いということは、みんなからよく聞かされていた。帰港を急ぐあまりに無理をすることもあるが、多くの事故は気の緩みから起きている。》
 水揚げのために静岡の清水港に入港するときも、漁労長はじめ船長、航海士、甲板長など幹部たちがブリッジに集まり、細心の注意を払いながら事故のないように舵をとった。
 ところが、あたごは船団を組んで漁場に向かう小型漁船が行き交うこの海域で、衝突1分前まで、自動操舵のまま漫然と航行していた。
 「緊急性を感じなかった」「そのまま進めば自船の後ろを通り過ぎると判断した」と衝突直前に灯火を視認した状況について見張り員はこう答えたという。
 「お前ら、どけ!どけ!」小型漁船が避けるのが当たり前、といった官尊民卑の驕りが「あたご」だけでなく護衛艦にあったのではないか。
 板子一枚下地獄。死と隣りあわせの海の仲間意識が、あたごにあったのだろうか。海上保安庁に一報が入ったのは衝突から16分後。海上保安庁より先に防衛省が乗組員から事情を先きに聴いている。海上自衛隊は4機のヘリコプターを捜索に動員。しかしその1機を航海長を事情徴収するために海幕へ移送。当直責任者が現場海域を離れたというのは、人命救助を後回したと批判されてもしかたがない。事故の第一報は遅れ、説明も二転、三転。
 まだ行方不明の哲大さんは、特大マグロを釣るのが夢だった。
 「普通の見張りさえしていれば、起こらなくてもいい事故だった。それがくやしい」という仲間の漁師の言葉が重い。一日も早く事故原因を解明してほしい。


「毒物の上に市場をつくるな!食の安全を守れ!」
 東京都が進める「築地中央卸売市場移転」の反対デモ(10月3日)に参加した。移転先は豊洲の東京ガス工場跡地で、ベンゼン、シアン、六価クローム、ヒ素、水銀、鉛、カドニュームなど環境基準値をはるかに超えた有害物質の汚染土壌。東京都はこれらの物質の存在を認めながらも、「附則第3条」という悪法を作って、移転計画を進めている。地震時に液状化が懸念され、有毒、有害物質が噴出恐れのあるところに、鮮魚や青果などの生鮮食料を大量に扱う築地中央卸売市場を移転させることは食の安全を脅かすものであり、絶対許してはならない。
 石原知事は、都知事選で「築地は増え続ける需要に対して手狭になった。築地は古いから汚い、不衛生だ」と、耳を疑うようなことをいった。戦火をくぐり抜け、暖簾を代々受け継いで、日本の食文化を守ってきた築地市場に何ということを言うのか。ぼくは築地へ買出しに行くが、一度もそのようなことを感じたことはない。場外の狭い路地から漂う鰹節やほうじ茶を煎るイイ匂い。仲卸しが軒を並べる場内の通路から、魚河岸の男たちの人情や心意気が伝わってたまらなくいい。ウチの店は築地で仕入れているという調理人の誇り。それがお客に伝わってあの店はわざわざ築地まで行って仕込んでいるから間違いないと、説得力をもつ。
 東京都はなぜ強引に築地市場を、豊洲に移転させたがっているのか。築地跡地に2016年招致を目指すオリンピックメディアセンターを建設するというが、どうしても必要ならば移転先の豊洲に作ればいい。名古屋市や大阪市の前例をみても東京オリンピックの再招致は難しく、真の狙いは銀座に近い一等地を売却して約2兆円の売却益を得たうえに、不動産界から、都市開発で巨額な利益を得るためだろう。
 ぼくはマグロ船のコック長として、世界の港の市場を見てきた。一日5万人が出入りし、約24億円の取引があるこの世界一の築地中央卸売市場こそ、世界遺産に値する貴重な財産だとぼくは思う。東京都は移転計画を白紙撤回して、現在地での再整備を目指すべきである。

 

 海の男のマグロ尽くし

 さあ、明日の原稿も書き上がった。飲みに行くぞ!時計を見ればまだ5時、いいかげんにしてくださいよ、と言いたげな後輩の視線、居酒屋バカは見逃さなかったね。新聞記者がパソコンにへばりついてどうする、♪芸のためなら女房も泣かすだ、と妙チキリンな理由で連れ出した。
 で、今夜は千葉は船橋、東葉高速鉄道北習志野駅から10分ばかりの「炊屋」へ。これで「かしきや」と読む。ご主人、斎藤健次さんはかつて遠洋マグロ船に乗っていた。南極おろし吹きすさぶ漁場で3航海、コック長として海の男たちの胃袋を満たしてきた。彼は「かしき」と呼ばれた。その体験を記した「まぐろ土佐船」は小学館ノンフィクション大賞に輝いた。
 さて、壁一面の品書きは文字通り、マグロ尽くし。皮ポン酢、ホオ肉の刺身、アゴ肉のスペアリブ…、2人して片っ端から平らげた。生ビールをガンガンやりながらの食いっぷり、後輩が頼もしく見えるじゃないか。お勧めはマグロ船の賄い料理、マヨネーズあえ。一瞬ぎょっとするものの、これが病みつきになる味。薄くスライスした赤身にしょうゆ、わさびを加えてかるくもみ、しばらく置いてマヨネーズであえている。
 酔っぱらったせいか、波の音が聞こえ、海のにおいがする。鳥羽一郎さんの色紙があった。〈海よ、海よ〉。いい字だな。「市場では日本船でとったのを回してくれって言ってるんです。冷凍技術がしっかりしているし、扱いが丁寧ですから」。だから、うまいのか。世界的なマグロブームで、マグロが食卓にのぼらなくなる日が来るなんてニュースがあった。赤ちょうちんの主役でもある。消えてもらっちゃ、困る。許すな乱獲!守れ!マグロ。
(毎日新聞2007年7月3日夕刊掲載)

 

習志野台で料理店を開業して、もう23年にもなる。
 食材は毎朝、船橋の卸売市場で仕込んできた。市場に行けば欲しいものは何でも揃い、一度に買い出しすることができる。とくに海産物は種類が豊富でどれも活きがいい。
 氷詰めされた魚を、自分の目でたしかめ、手に触れて一本一本選別して買うことができる。スズキ、カレイ、イワシ、コハダ。船橋港に揚がったばかりの江戸前の魚介が店頭に並ぶと、なぜかワクワクして嬉しくなる。
 鮮魚店がひしめく場内をひと回りして、最後に立ち寄るのが、馴染みのマグロ仲卸店。白く凍ったマグロを電動ノコギリで、サク取りしてもらう。そのわきで私は、マグロの頭を解体する。脳天、ホホ肉、目玉、カマ。自分の欲しい部位をとらせてもらう。ひと仕事終えて、お茶を飲みながらマグロ談義。切り落したばかりのトロに醤油をたらして口に放り込む。こうして食べるマグロが実に美味い。
 卸売市場は素人さんお断りでプロ専用の世界だが、入り口の係員に名前を告げれば誰でも入場することができる。
 一般の人も卸値で買うことができ、品質保証でかなり安い。ただしプロの邪魔にならないように、決して魚をおろしてくれなどの注文はしないこと。
 地元、船橋の食文化を支えてきた卸売市場を、ぜひ一度訪ねてみて欲しい。買出し人の賑わいが一息ついた9時過ぎがいいだろう。
(2007年6月29日、東京新聞ショッパーより)

 

近ごろ、男の料理本がよく売れているそうである。今朝の新聞にも雑誌広告が3誌。《食べること、生きることに貪欲な男たちに、ates》《家メシ、旅メシ、男メシ、prost》《食のエンターテイメント、dancyu》
料理教室に通う男性が急増し、デパ地下に男性客が増え、高級食材専門のスーパーが登場。合羽橋の道具街では、ちょいプロ級を目指す素人さんが本格的な調理道具を買っていく。定年を迎えた団塊の世代の男たちが時間と金をかけて自慢料理を作っている。
 先日も、ある出版社から食の雑誌を創刊するので、取材したいとの電話があった。なぜ、いま食の雑誌をたちあげるのか。編集者の話では、グルメブームやワインブームを経て、日本の食文化が高まり、新しい切り口の食情報を読者は求めている。食べたい、知りたい、作りたい。そのために、毎号ひとつの食材を徹底的に解剖する。
 で、創刊号は一冊まるごと、マグロ特集。サクの買い方、切り方、解凍、保存方法。生涯泳ぎ続けるマグロ生態学。
 何より私が伝えたいのは、マグロ漁師のこと。1年以上も家族と離れ、荒れ狂う海で命を賭けてマグロを追う男たち。そこには想像を絶する壮大なドラマがある。
 食材を知ることでドラマを味わい、食卓がもっと楽しくなる。漁師から教えてもらった漁師料理こそ、男の料理そのものではないだろうか。
(2007年6月1日、東京新聞ショッパーより)

 

 毎日料理を作り、接客しているとふっと旅に出たくなる。それも温泉がいい。以前はよく、四駆で秘湯を巡った。北アルプスや八ヶ岳の雲上のいで湯に感動した。今は妻と二人で、駅弁を食べながら車窓の風景を楽しむ。そんなのんびりした旅に変わってきた。
 宿は情報誌や旅行社のネットで検索する。風呂、部屋、料理、料金…こちらの希望を絞り込んでいく。とくに宿泊客の書き込みや人気ランキングが参考になる。
 で、露天風呂人気№1の宝川温泉に予約をいれた。上野から上越線特急で2時間。水上駅からバスで30分。利根川の最上流に佇む一軒宿。総桧葉造りの本館、旧館、別館の入り組んだ廊下や太い柱が磨きぬかれ、光り輝いている。
 つり橋を渡って川沿いに歩いていくと、巨石に囲まれた露天風呂が4ヶ所、川べりに並んでいた。大自然に囲まれ、湯船に手足を伸ばすと、身体の芯から疲れが抜けていく。
 そして、いよいよ晩の膳。岩魚の活き造り、山女の炭火焼、たらの芽の天ぷら、猪鍋。山の幸が並び、海のものはひとつもない。地の旬のものをその土地で味わう。これほど贅沢で美味いものはない。
岩魚の骨酒を飲み干すと、五穀米と、名物の熊汁がさっと出た。板前さんのこだわり。配膳係の目配り。高級旅館のお仕着せのサービスではなく、ほっと和むもてなしが伝わってくる。湯上りの酒が心地よく、身も心も熱くなった。
(2007年4月27日、東京新聞ショッパーより)

 

わたしがコックで乗った遠洋マグロ漁船は、日本を出港したら1年半も2年も帰ることができなかった。荒れ狂う高緯度の海で毎日同じ作業の繰り返し。船員たちの楽しみは食事で、操作中は一日4回食べられる。2升炊きの炊飯器は休むことなく炊き続け、25キロの米が3日でなくなる。
 乗組員22名。彼らの空腹を満たすために、コックは一人で献立を考える。航海が長びけば野菜がきれてくる。トンカツに添えるキャベツが欲しい。冷奴の薬味が欲しい。ゆれる調理場で、限られた食材で、その日の天候を見ながら毎日の食事を作る。
 料理は手を抜こうと思えば、いくらでも抜くことができる。缶詰をただ並べただけ。インスタントラーメンを袋のまま丼に入れ、やかんにお湯を沸かしただけ・・・そんなコックもいる。だか、手をかければかけるだけ船の中は和やかになり、トラブルもなく、漁も上向いてくる。
 ずぶ濡れになった男たちが、自分が作った料理を無心に食べてくれる。食器をさげるとき「うまかったよ」と目でサインをくれる。
 船を降りても調理の仕事を続けたいと思い、船橋に店を構えた。分厚く切った色のいいマグロをドカンと豪快に盛る。
 客席から、ウォッと歓声があがる。でかいマグロのカマ焼に拍手がおきる。
 食は生きる原点であり、料理は人を感動させる力がある。 (2007年2月9日 東京新聞ショッパーより)

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